マレーシアは1年中夏だ。
赤道にも近く、刺すような日差しが毎日訪れる。
日本でもNHKでよく世界の天気を報じているが、
マレーシアやシンガポールはいつも34度とか表示されている。
だが、日本のうだるような猛暑34度とは同じではない。
日本よりも湿気が少ないため、不快な感じはあまりない。
太陽の下を歩けば汗は出てくるが、意外と風がいつも吹いている。
首都であるクアラルンプールでもそうだ。
湿気の少なさと爽やかな風のおかげで、想像よりも過ごしやすい。
日中でもエアコンをつけることはあまりなく、
シーリングファンで十分なのだ。
コンクリートの家が多いため、風通しさえ良くしておけば
十分快適に過ごせる。
深夜や朝方、多量のスコールが降った後などは涼しすぎるくらいだ。
サウジアラビアやエジプト、シリア、イランなどから
よく観光客がマレーシアに来る。
彼らは同じムスリム(イスラム教徒)の国に単に観光に来ると
いう以外に、避暑のためマレーシアに訪れると聞く。
実際にサウジアラビア人の女の子と話したことがあるが、
彼女の国では40度とか38度とか、そういうレベルなのだ。
だが乾燥しているので、日本の38度とはどうやら感じが
違うようだ。日本であれば僕は死んでいるに違いない。
初めて暑い12月、1月を体験すると、
フリースやコートを着ていた日本の冬がまったく想像できない。
年末年始はマレーシアのキナバル山(標高4,000メートルを超える
マレーシアの最高峰)に登っていたので山では長袖であったが、
それでも日本の夏山と同じような感じであった。
下界に降りれば、いつもの半袖短パン生活が戻ってくる。
実は、常夏は結構飽きる思いがした。
これまで巡る季節の中で暮らしていた身とあらば、
変化しない季節の中で、四季が恋しくなるのである。
これも慣れの問題であるとは思う。何年も常夏の国に身を置けば、
それが当たり前になるので、寂しい思いも薄れていくと思う。
しかし日本人の生活の中心には、季節があることを改めて感じた。
台風、大雪、桜、花粉症、花火、紅葉狩り・・・
大変な思いをすることも多い季節の様相が、
実は心の深い部分に関係していることを、
離れて初めて強く感じるのであった。