東南アジアでも群を抜いて発展している国、シンガポール。
この国へ移住を希望する日本人は、主に富裕層である。
しかしその条件は至って厳しい。
他の国が預金額や収入の条件を提示しているのに対し、
シンガポールははっきりとした額を公表していない。
目安として250万SGD(約2億円)という情報もあるが、
定かではない。
シンガポールに永住するためには、
PRと呼ばれる永住権パスが必要だ。
これは入管の審査を経て取得できるものだが、
どうやら金さえ持っていれば手に入るものではないらしい。
一定のステップを経ることが必要なのである。
その一つは、シンガポールの企業で何年か働くこと。
シンガポールには多くの日系企業があるので、
そこで働くことでもOK。
また、その給与額も重要だ。安いと審査に通らない。
就労パスも給与額で区別されるほどだ。
また4年制大学を卒業していることも必要。
シンガポールの大学を卒業していると有利とも聞く。
PRを所有していて与えられる権利は居住の権利だけではない。
家を買うことが出来る。といっても、
シンガポールは国土が狭いので、現実的に購入できるのは「団地」だ。
HDBと呼ばれるもので、シンガポール人(国籍を持つ者)なら
収入に応じて多少安く購入できる。
PRを持っていれば中古の住宅を購入できるのだ。
土地の所有権はなく、99年借地権となり相続不可だが、売却は可能。
シンガポールに住むマレーシア人夫婦の友人が
先日買ったというので見学してきたが、
100平米弱で3千万円程度だそうな。
運動できる公園やフードコートが併設され、結構キレイなところであった。
マレーシアの汚い物件に慣れ過ぎて
キレイに感じただけかもしれないが。
マレーシア人の夫婦でもシンガポールで働いていれば
PRを取得でき、諸権利が与えられ、中古物件の購入も可能なのだ。
資産を多く所有している人はシンガポールで法人を設立し、
数年後にPRを取得しているようだ。
それはシンガポールの成長に貢献すると判断されてのこと。
シンガポール政府は、自分たちの国に金銭的な面だけでなく、
金融面、文化面、科学技術面で利があるかを見極めながら、
PRを付与している。
制度や基準の変更もこれまで多々あったし、
これからも発生する可能性は高い。
何故なら、シンガポールは外国人の力で
成り立っている国だからである。
そのため、周辺国と同じような感覚での移住には、
条件面で折り合わないのである。