日本で暮らす場合、東京や大阪といった大都市圏ならばクルマを持たない世帯がある程度存在します。
何故なら、鉄道やバスといった公共交通が充実しているからです。
これらはほぼ時間通りに運行されており、最近では所用時間や運行状況といった様々な情報も簡単に調べることが可能で、とても便利です。
料金は一概に安いとは言えませんが、車を所有する上でかかるコストや事故リスク等と天秤にかけた場合、安いと言えるでしょう。
必要な時だけレンタカーやカーシェアリングを利用するのも賢いスタイルと言えます。
では、マレーシアではどうでしょうか。
実際に生活して得た経験から結果ですが、いきなり初めに結論から書いてみたいと思います。
単身の場合:不要
カップル・夫婦のみの場合:金銭的余裕があれば持ちたい
子どものいる家族の場合:絶対必要
単身の場合:あったほうが賢明
それ以外:絶対必要
これは日本での基準「便利かどうか」「所有コスト」だけではありません。
「安全上の懸念」「身体的な負担」についても考慮した結果です。
身を守るためにマイカーを持つという選択肢
マレーシアの公共交通はクアラルンプール市内を主に走る「LRT」(軽便鉄道)とKTMコミューター(国鉄近郊線)以外、まともに使えません。
バスは乗降場所にバス停がない場合もあります。
掲示される時刻表も存在しません。
そのような状況では、毎日使うのは結構大変だと思います。
特に家族の場合、かなり時間に余裕をもって行動しないと、間違いなく予定に遅れてしまうでしょう。
また、マレーシアは路上ひったくりやレイプが発生します。
まず、タクシーが信用できません。
料金詐欺はたまにあり、日本人と分かればさらに確率は上がるかもしれません。
ですが一番怖いのが強盗殺人やレイプです。
人気のないところへ走って行って金品を奪ったりレイプされる事件はよく新聞に載ります。
特にインド系のドライバーは怖いと言われており、タクシー待ちで順番が来た場合、インド系はパスした方が無難でしょう(後ろに並んでいる人に順番を譲る)。
もちろん、車を所有していても車上荒らしはあります。
信号待ちで停まっていたら隣にバイクが来て、ガラスを割られてバッグを持ち去られたなんて話もあります。
ですが、窓を閉めてキーロックして見えないところにバッグを置けば、その確率をかなり減らせます。
そしてマレーシアは常夏で、太陽が姿を見せる日はかなり暑いです。
倒れることもあるので、子どもを日中は外で遊ばせない家庭も多いのです。
そんな中、30分も歩けば全身汗ぐっしょりなのは容易に想像出来ると思います…。
また2日に1回くらい、午後になるとスコールが降ります。
1時間以上降ることは少ないですが、バイクライダーもみんな橋の下に避難するほど、雨の勢いは激しいです。
そしてよく道路が冠水します。
フラッド(洪水)と言って頻繁に起こり、排水設備や道路形状が悪いことも原因の一つです。
雨季になると長時間降る日も多く、川が溢れることは都市部ではまず無いですが、郊外では
たまにあります。
川も汚いので、衛生面でも不安です。
マレーシアで車を購入する大変さ
マレーシアの実情、お分かりいただけましたでしょうか。
マレーシアは実は世界でも有数の自動車高所有率国家、いわゆるクルマ社会なのです。
ご飯を食べに行くのも、会社へ行くのも、子どもを学校や幼稚園へ送るのも、すべて車です。
車を買えない世帯はバイクで行います。
但し、マレーシアで車を購入する場合、マレーシア国産車(PROTON,PERODUA等)以外は、日本の1.5倍~2倍の価格となります。
例えば、小型ハッチバック車のスズキ・スイフトはマレーシアでも見掛けますが、日本だと140万円程ですが、マレーシアだと220万円程度もします(但しこれは値段の開きが少ないほう)。
これだけ高額な理由は、国産車メーカー保護のために、輸入車には関税・物品税が高率設定されているからです。
でも国産車は故障が多くて、中古のもので年式の古いものは特に苦労すると思います。
ですが、国産車メーカーのうち、「PERODUA」(プロデュア)の最近のモデルなら、かなり安心して乗れるはずです。
安くて良い車を購入するなら、PERODUAがオススメです。
もちろん日本より有利な面もあります。
まず産油国なのでガソリンが安く、1リットル70円くらいです。
昔はシンガポールから越境して給油に来る人もいたくらい安いのです(現在ではシンガポール政府がそうさせないように規制している)。
また日本でいう「車検」がありません。
1年に1回「道路税」を払うだけでよいのです。
これも1,500ccで2,500円程度と、小排気量なら負担感は少ないです。
故障しても部品代はそれほど高くなく、何より工賃が安いのも魅力です。
きちんと直してくれるかは見ていないと不安ですが…。
ここマレーシアにおいては、初めの購入時にはお金がかかりますが、長く乗れば乗るほど
コストパフォーマンスは良くなっていきます。
もちろん、シンガポールのように台数制限のため将来的に新しい法律が制定される可能性はありますが、現在のところは大丈夫なようです。
ストレスフリーと安全が欲しいなら車は持つべき
もしあなたがマレーシアに暮らすとしたら、どういった暮らしを望むでしょうか。
単身で暮らすなら、不便さや厳しい環境を受け入れることが出来る場合も多いと思います。
ですが、出来ることなら、
「ストレスなく」「快適に」「安心して」
暮らすことを望むのではないでしょうか。
家族がいるケースならなおさらですよね。
日本の都市圏では、車を持たなくてもこのような理想の暮らしが可能でしょう。
ですが、はっきり言ってマレーシアでは不可能です。
自転車もほとんど走っていないこの国では、車・バイクはまさに「足」なのです。