「日本の3分の1の物価で余裕のある生活を!」
年金生活者向けロングステイの案内に必ずと言っていいほど
入っている文言。
変わらない収入でリッチな暮らしが出来ると言われれば、
素敵なイメージに夢が膨らんで当たり前である。
しかし、それを鵜呑みにしていては痛い目に合う。
以下に、実体験に基づいた状況を説明していく。
ここでは、生活に最も必要な「衣・食・住」について語る。
まず「住」から。日本人が多く住んでいるのは「コンドミニアム」。
プールやジム、有人セキュリティが備わっている高層マンションと
言ったところ。
僕の住んでいるところはクアラルンプール市内、
駅から遠いが車ならKLCCまで20分程度の場所。
約100平米で8万円程度。
これは家具付きの値段。
家具無しならもっと安い。
しかも昨年完成したばかりの新築、と言っても結構汚れているけど…。
当たり前だが、駅近や都心に近いほど値段は上がるが、こういった
場所はシングルやカップル向けの小さめの部屋が多い。
家族ならちょっと都心から離れた、駐車場付きの物件がほとんど。
7~80平米くらいで築10年程度のそれなりに綺麗な物件なら、
6万円程度で見つかると思う。これは日本と比べて割安だ。
次に「食」。マレーシアの人々は外食が多い。
そのため、屋台からレストランまで飲食店が無数にある。
中でも屋台で食べるなら一番安い。
一人一食300円以内で収まるはず。
レストランはピンキリ。
ローカル色の強いところなら、倍の4、500円程度で済むが、
ショッピングモールの中のレストランなら6、700円程度はかかる。
何故なら、税金とサービス料で16%が加算されるから。
マレーシアはちょっとキレイなところで食べると、コレがかかってしまう。
ただ、現地の食事ばかりではまず飽きてしまう。
たまに和食レストランに行くとしたら、一食8、900円程度は
最低でもかかる。
日本酒まで飲んでしまったら、その倍はする。
では、自宅で料理をする場合はどうだろうか。
材料が最も安く手に入るのは「市場」である。
決まった曜日に特定の道路が封鎖されて
市場が開かれるものもある。
ここでは野菜、魚、肉、日用品、パン、お菓子、
衣類、DVDと何でも路上で売られる。
だが日本人から見ると、ちょっと汚い環境で売られていると
感じるかもしれない。
僕は食料品はスーパーで買っている。
野菜は一見安いが、安いものはすべて中国産である。
マレーシアで作られる野菜は限られていて、多くを輸入に
頼っている部分がある。
アメリカやオーストラリアなどの野菜が多い。
値段は日本よりちょっと安いか、同等である。
個人的にマレーシアで日本より安いと感じるのは、
米、鶏肉、地場の野菜、地場のフルーツ、豆腐、
アイス、お菓子など。
逆に日本と同等か高いと感じるのは、魚、牛乳、チーズ類、
根菜、酒、まともな食用油、日本食(当たり前か)などである。
主観でかなりざっくりとしているが、参考になれば。
「衣」について。これは一年中夏の国だけあって、
かなり安く済むだろう。
何せ日本と違って、春秋物、冬物を買う必要がない。
市場で売っているTシャツやポロシャツは、
5、600円で買える。
マレーシアにもユニクロはあるが、日本の値段と同等もしくは
それ以上の価格で売っているので、割高に感じる。
他のマレーシアブランドのお店で買ったほうが安い。
女性にとっては、みんなかなりオシャレに気を使う印象があるので、
服の選択肢はかなり広がると思う。
実際ショップも多く、値段も日本より割安だ。
若い女性は原色系のワンピースを着る人が多い。
体のラインに合わせて丈も短いので、
男性にとっては刺激的に映るかもしれない。
(但し、中華系の女性に限る)
結論として、日本人が日本人らしくマレーシアで暮らすには、
3分の1というのは無理がある。
マレーシア人と同じようなスタイルで生活すれば可能だが、
まずストレスが溜まるだろう。
いくらかかるかは人によって様々、というのが結論と言えば
結論だけど、ストレスを少なく、長く暮らしたいのであれば、
余裕を持った予算計画を練ったほうが良いと思う。
日本にいるときにいつも飲んでいた緑茶やみそ汁も飲めないので
あれば、日本に帰りたくなってしまうかもしれない。
まあそれくらいなら大して高くはないのだけれど、例えばの話。