夢見る海外移住に”待った”

白い砂、青い海、心地よい風、暖かい気候、美味しい料理・・・

 

夢は夢見ている時間が一番楽しいとも言われる。

 

夢を見せられているだけで終わらないように、

 

自分で『自分だけの未来予想図』を描くことが必要だと思う。

 

 

「マレーシアがロングステイで人気ナンバーワン!」
「生活費格安の国で悠々自適の年金暮らし!」
「暖かい気候で自由なライフスタイルを」

 

いま、リタイアを控えた中高年や、既に年金を受給している

人々の間で、日本を離れて常夏の国で余生を過ごすことが

流行っている。マレーシアではある程度の金融資産があれば、

MM2Hという長期滞在ビザを取得できるので、人気を博している。
世界的に見てもマレーシア、タイ、フィリピンは
億万長者にならなくとも、長期滞在ビザが取得できる。

 

 

 

東南アジア諸国は常夏で、僕も1年中Tシャツと半ズボンだ。
服も買わなくていいし、ストーブをつけることもない。
寒いのが苦手な人にとっては、天国だろう。
さらには花粉症もないので、毎年憂鬱になることもない。
僕も花粉症に悩まされていたので、この点は有難い。

 

このようなメリットが、日本で開かれるセミナーで
盛んに宣伝されている。来場者はかなり多いようだ。
さらには不動産の紹介も行われ、日本よりもかなり手ごろな
価格で手に入ることもあり、物件も一緒に購入する人も
それなりにいるようだ。

 

だが、日本人はすべてを鵜呑みにする傾向がある。
まず性善説に基づいていることもあるし、日本では
信頼が重要視されているからだ。ウソの説明なんて
あるわけがない。そう信じ切ってしまうのだ。

 

しかも、そういったロングステイの斡旋を行う業者のうち、
良い所しか説明しないところも多い。都合の悪いことは
詳しく説明せず、客にリスクを背負ってもらう。
マンションのモデルルームとよく似ている。
非常に素晴らしいインテリアを備え付け、最高の暮らしを
イメージさせる。いったん契約させてしまえば、
あとは客がローンを払いきれなくても関係ない。

 

ここマレーシアにおいても、似たようなことはよくある。
「何も言ってこなかったら、ぼったくってやろう」
「売ってしまえばそれで終わり」
「後のことは知らない。メーカーに聞いて」
このようなことがよくある。
だから家電製品を買う場合でも、その場で箱を開け、
電源を借り、ちゃんと動くかスイッチを入れて確かめる。
たとえ保証があっても、スムーズに対応してくれないので。
不動産でも、建設中のコンドミニアムがいきなり工事ストップ
なんて話もある。デベロッパーが倒産したり、資金を持ち逃げ
したり。このようなことは、ここ5年間で約200件発生している。

 

 

冒頭の「生活費格安の国で悠々自適の年金暮らし!」という文句。
間違ってはいない。ただ、自分の生活レベルを落とさない限り、
この文句は達成できないと思う。実際に生活してみた僕が断言する。

 

住居の家賃は、日本の感覚だと値上がることはあまりない。
しかしマレーシアでは、不動産価格の上昇に伴って、家賃が
値上がりすることが頻繁にある。1~2割程度だろうか。
そのため、同額家賃で暮らすには、さらに築古物件か郊外に
引っ越すしかない。これを知らないと、当初計画していた
予算から数年後には大幅にオーバーすることになる。
但し、大家と仲良くなれれば、値段を据え置いてもらうことが
出来るかもしれない。

 

また、マレーシア料理はずっと食べていると飽きるので、
日本食をレストランにたまに食べに行くことになると思う。
すると、ローカル料理に比べてぐっと割高になる。
日本の値段と同じくらいするのだ。自炊をするにしても、
米、野菜は割安だけど、魚は意外にも高い。安い野菜も
中国産が多く、安全を考えるなら他国産のものや有機栽培と
いった、割高な野菜を選ばなければならない。
また、パンや酒、たばこなどは日本と比べても安くない。
そうなると、食費、嗜好品は意外とお金がかかる。
イオンや伊勢丹といった、日本の食品を扱う日系スーパーは
豊富にあるので、みそ汁も寿司も好きなだけ食べられる。
だがそれらは、日本の値段と同等または高くなる。
現地の物価と比較して、割高なのは言うまでもない。

 

車を持つ場合でも、購入価格は日本の約1.5~2倍もする。
ガソリンや維持費は日本に比べ大幅に安いけれど、
トータルではそこまで割安ではない。

 

このように年金受給から暮らし始めて、終の棲家として
10年後、20年後を考えた場合、日本の将来的な年金額で
生活レベルが維持できるとは言い難い。日本の年金が
物価スライドに対応しているといっても、マレーシアの
これからのインフレに対応できるはずもない。
それどころか、最近日本の年金は減額されている。
つまり、快適に長期滞在を楽しむつもりなら、
カツカツの予算設定はせず、ある程度の預貯金を準備する等、
余裕を持ったプランニングが必要となるだろう。

 

 

 

また、文化や習慣の違いも、生活する上でのストレスとなる場合も。
長年日本で暮らし、日本の文化が体に染みついていると、
マレーシアの日常に溶け込むのがなかなか難しい場合もある。

 

「日本だったら、こんなことは起きないのに」
「日本だったら、もっとまともなサービスなのに」
「日本だったら、もっと楽なのに」

 

違う国だから、それを受け入れるしか術はない。
または、それなりのサービスを受けられる高級なところのみを
使用するしかない。そうなると、都心に暮らす必要がある。
そもそも日本語しか話せない人にとっては、まともな会話が
出来ないので、そこもストレスになるだろう。最悪、最低限の
外出のみで家に篭るようになってしまうかもしれない。

 

しかし、それらは乗り越えなければいけない壁。
日本と違うものを求めて、海外へ移住するのではないか。
ならば、それを受け入れるしかないのだ。
受け入れられないならば、日本への帰国しか道はない。
実際、帰国している人もそれなりにいると聞く。

 

 

 

夢・理想と現実の差は、どこの国でも、何事にもある。
それはやってみないとわからないことかもしれない。
失敗はあっても、それも経験と割り切ることも出来る。
自分は一番何を求めているのか。何のために移住するのか。
安定か、非日常か、多言語環境か、温暖な気候か、綺麗な自然か。
何となくでもいいけれど、出来るならば失敗はしたくないのが人間。
目的を見定めて、検討されることをオススメする。

 

「そんなこと言われても、ゼロから何をしたらいいかもわからない」

 

当然、こう考える人もいることだろう。その検討の参考書として、
本ブログを活用してもらえたら嬉しい。